飼い犬に手を噛まれまして


 次の瞬間、皆から黄色い悲鳴と拍手が巻き起こる。


「やっぱ、そうなんだー!」

「最近よく一緒にいるから、もしかしてって思ってたんだ」


 和気あいあいとしたムードが戻って、ホッと一安心。郡司先輩も、当然とばかりにニッコリと笑った。



「茅野」


「な、なんですか? 萌子先輩」


「後で裏に顔出しな」


 萌子先輩は眉をつり上げた。


「う、裏ってなんですか! 花嫁さんがそんな怖い顔してたら、花婿さんが逃げちゃいますよ萌子先輩、ほらスマイル! スマイル!」


「茅野、殺ス……うわあぁん! 悔しいーっ! 郡司くんは、ずっと皆のものなのにぃー! そんな天然記念物クラスのいい男独り占めなんて、私は許さない」


「そんなの勝手に決めたら郡司先輩だって、迷惑ですよー。ほら、萌子先輩の大好きなワインがきましたよー。はい、のみましょ、のみましょ」




< 178 / 488 >

この作品をシェア

pagetop