飼い犬に手を噛まれまして
次の瞬間、皆から黄色い悲鳴と拍手が巻き起こる。
「やっぱ、そうなんだー!」
「最近よく一緒にいるから、もしかしてって思ってたんだ」
和気あいあいとしたムードが戻って、ホッと一安心。郡司先輩も、当然とばかりにニッコリと笑った。
「茅野」
「な、なんですか? 萌子先輩」
「後で裏に顔出しな」
萌子先輩は眉をつり上げた。
「う、裏ってなんですか! 花嫁さんがそんな怖い顔してたら、花婿さんが逃げちゃいますよ萌子先輩、ほらスマイル! スマイル!」
「茅野、殺ス……うわあぁん! 悔しいーっ! 郡司くんは、ずっと皆のものなのにぃー! そんな天然記念物クラスのいい男独り占めなんて、私は許さない」
「そんなの勝手に決めたら郡司先輩だって、迷惑ですよー。ほら、萌子先輩の大好きなワインがきましたよー。はい、のみましょ、のみましょ」