飼い犬に手を噛まれまして
「紅巴さん、泣いちゃうんだもんなー。ほんと、泣き虫ですよねー」
「ワンコだって、深陽さんにフられて泣いたじゃん」
「俺は、長年の恋に終止符うったんすよ! 泣いて当然でしょー、そっちのたかがお友だち話と一緒にしないでくださいよ」
「ひどーっい、私には大問題なの! だって、恋愛自体久々なんだもん……」
レモンスライスを何枚も浮かべた濃いサワーをごくごく飲んだ。
「わかりました! 男女間に友情が存在するか? ってとこが心配なんですね。お話しを聞くと、紅巴さんの彼氏さんは大変おモテになるようですし」
ワンコも負けじと、グラスを空にした。
「過去のことなんだよぅ? 多分、過去なの……今は…………」
「わかりました。俺が一肌脱ぎましょ」
「はいっ?」