飼い犬に手を噛まれまして

 同期の中でも、和香は新人の頃からこんな感じだった。ストレートな物言いで、あっけらかんとした態度。


 そんな和香を、密かに凄いと思ってきた。和香には和香らしい強さがあって、私には絶対に真似できない格好良さがある。



「紅巴……?」



 和香のこと、嫌いなわけじゃない。私には、ない一面持ってるだけだ。


「和香、ごめん……わかってる。自分は郡司先輩とは全然不釣り合いだし、和香が面白いわけないって……

 私、彼氏できたのも久々だし先輩に告白されて浮かれちゃってさ。先輩には、本当はもっと相応しい人がいるかもしれない。

 ずっと憧れてきた人だから、例え一時でも私は先輩の彼女になりたかったんだ」


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