飼い犬に手を噛まれまして
夜食はワカメうどんにした。材料を煮ながら、先輩の広い背中を眺める。
たまに盛大なため息をつきながら、ガックリとうなだれて、かと思えば、急に色鉛筆をカリカリと走らせる先輩が可笑しい。
「はー、やめた、やめた! 明日にする」
「締め切り大丈夫ですか?」
「なんとかなるだろ。それより、いい匂い」
うどんを器によそって、箸を添えた。
「旨そう! 茅野って、すごいな。こんなこと出来るなんて!」
「先輩のほうがすごいですよ」
机に置かれたカラフルな色彩とパソコンの画面に取り込まれた画像。何をどうやって、どんなものが出来上がるのか全然想像がつかない。