飼い犬に手を噛まれまして
「なーんだ! 答え出てるんだね。
よし、わかった。次、私が家出した時は郡司家に行っていいならワンコに会ってきてあげる」
朋菜は得意気に、任せて、と胸を叩いた。
「えーっ? 郡司先輩の部屋にまで来るの?」
「だって、どうしろっていうの? 聞いてよ、お義母さんてば、ご近所さんで赤ちゃんが産まれてね。余計に毎日、孫孫うるさいの!」
「その話、タカシさんと急がないって決めたんでしょ?」
「決めたよ! それなのに、ベビーカーに赤ちゃん乗せてきたご近所さんと、わざわざ家の前で大声で、うちにも孫が欲しいわ! なんて言ってゲラゲラ笑ってるんだよ?」
「気にすることないよー」
「うわぁん! おめでとうございます、可愛い赤ちゃんですね。て声もかけてあげられないのは、全部お義母さんのせいなんだからっ!」
「わかった、わかったから……朋菜落ち着いて……
あ、でもうちのワンコに会っても気をつけてね? あの顔で甘えてきても、甘やかしちゃダメだよ? タカシさんに怒られちゃう」