飼い犬に手を噛まれまして
「甘やかしてるのは、紅巴だっつーの!」
日替わりランチが三度目の空中浮遊して、朋菜は、はぁああ、とため息を吐き出した。
「私、甘やかしすぎ?」
「当たり前でしょ! よく考えてごらん! ワンコは、赤の他人だよ!
た に ん!」
たしかに……言われてみれば、ただの他人だ。
「だから、傷ついた顔するなっつーの!」
「え、傷ついた顔してる?」
「もう……やってられない。
とにかく、夕方ならワンコ部屋にいるんでしょ?」
「うん、ごめんね。朋菜、よろしく」