飼い犬に手を噛まれまして

 白黒の誌面には、山口エリナの全身写真と、お相手の男性の写真が紹介されている。


「紅巴心配して損したねー、山口エリナは郡司先輩の元カノかもしれないけど、今は友達で間違えないんだよ!」


 よかったね! と肩を叩かれて、ハハハ……と乾いた笑い声を返す。




「あ、この秀監督て人、先輩と折り合いが悪いって聞いたかも……」


 和香たちとの飲み会の時にそんな話してたっけ、先輩が担当外されて代わりに山咲さんが担当になってた。



「あったりまえでしょ、自分の奥さんの元カレが、あんなカッコいい男なら折り合いも悪くなるって!

 私もタカシさんと元カレの話とか絶対できないよ」


「え、タカシさんヤキモチとか妬くの? 余裕に受け入れてくれそうだけど」


「人前では、涼しげに済ますかもしれないけど、夜二人きりになったベッドの上では凄いんだから!」


「べ……ベッドの上なの? やだやだやだ、私の中の大人でクールなタカシさん像が壊れる」


「聞きたい? 例えばね……」



 

 うわ、夫婦て色々あるんだなぁ。昼から心臓によくない話だ。

 次にタカシさんに会ったら、目を見て会話できないかもしれない。


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