飼い犬に手を噛まれまして

先輩とドキドキ同棲生活


────朋菜に無理矢理連れて行かれた料理教室だけど、今改めて感謝できる瞬間がやってきた。


「うん、美味しくできた!」


 郡司先輩の部屋の、全然使われた痕跡のない広いキッチンで一人満足しながら大仕事を成し得た達成感でいっぱいだ。


 先輩の話だと、テラスでバーベキューをしたり、友達が部屋に遊びに来ることもよくあるそうで、食器やグラスだけはきちんと揃っている。


 モデルルームみたいなリビングテーブルに、二人分の食器を並べて、思う存分ニヤニヤ笑いをする。



 さっき会社で、帰りを待ってることを伝えると……「絶対、マッハで帰る」と真面目な顔して言った先輩が可愛いかった。


「あはは、夕飯作りますから、のんびりでいいですよ」と言うと、私たちの会話を盗み聞きしていた須田さんが「俺も行きたい! 茅野ちゃんの手料理食べたい!」と騒いで、郡司先輩怒ってたっけ。




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