飼い犬に手を噛まれまして
「ただいま!」
「あ、先輩……おかえりなさい」
夢だ……やっぱり夢みたいだ。あの郡司先輩とこんな会話していて、先輩が本当に私だけを見てくれているなんて……
大人しく先輩に抱き寄せられる。
「いい匂い……」
「や、やめてください……」
先輩は、私の首筋にその高い鼻を押し当ててスーッと呼吸する。首筋にあたる先輩の吐息で背筋から全身の力が抜け落ちそうになる。
「ヤバいな。また我慢できなくなる。せっかくの料理、暖かいうちに食べていいか?」
「もちろん」