飼い犬に手を噛まれまして
でも、できそう……
勝手に探って呆れらたわけじゃない。先輩は、もっと探ってこい。て言ってくれてるから……
「不安になることがあれば、言えよ。な?」
「はい……エリナさんのこと不安でした。でも、私別れたくないから不安でした。その気持ちが一番大きくて、先輩と別れたくない」
先輩は、よく言えました、と微笑む。
「あ、でも、先輩……本当に厄介ですね」
「仕方ないだろ、若気の至りだ。でも失敗してる分、次こそはって気持ちも強い。同じ失敗はしないよ」
「でも、先輩ってけっこう独占欲強いですよね。だって、会社でもあれだし……心配症ですか?」
「心配症だ。だって、茅野はトップモデルより遥かにいい女だと思うから……自分じゃ気がついてないみたいだけど、その包容力に男は安心する。他にも茅野に甘えたい男はいっぱいいそう」
体がギクリと硬直した。言って損した何やってるんだろう。
私、ワンコの聞かれたら、どうやって答えればいいんだろう。
先輩は、予想以上にストレートに打ち明けてくれた。おまけにこんな私に過大評価してくれている……言えるのか? 私!
「それに、茅野、最近山咲と仲良くないか?」
「や、山咲さんですか? あはは、それはないです。山咲さんは和香が好きで和香の話ばかりしてますよ」
「ま、たしかにそうだな。
俺、嫉妬深いから茅野が違う男と話すだけでイラッとくるからな気をつけろよ」
「そんなぁ、話すのダメじゃ仕事もできませんよ!」
明るく笑ってる自分が、気持ち悪い。
年下の男の子と、昨日の夜キスしちゃったんです。言えないよ!
この秘密。どこまで抱えて、付き合わなきゃいけないんだろう……私、最低だ。