飼い犬に手を噛まれまして
タカシさんは、「わかった」とグラスを置いた。
「朋菜、料理はもう十分だから、あっちで座ったら? 紅巴ちゃんも、お腹すいてるでしょ?」
手慣れたかんじでオーブンミトンをはめると、熱々のチキンを持つタカシさん。いつものことだけど、タカシさんは優しい。
「女子は女子だけの秘密のお喋りがあるの!」
「はいはい、お邪魔しました。怖いなー何話てるんだろうね?」
タカシさんにつられて、先輩もクスクスと笑ってる。
こういうホームパーティにすごい憧れていた。
先輩のマンションは、とても広くてモデルルームみたいだけど、やっぱり男の人の部屋で殺風景だ。それに比べて、タカシさんと朋菜の新居は生活感があるのにお洒落で、セッティングされたテーブルの上はドラマでみたホームパーティそのものだ。
「茅野、俺も手伝おうか?」
「先輩、料理できないんじゃなかったですっけ?」
「バラすなよなー」