飼い犬に手を噛まれまして

「大丈夫! 郡司先輩はイケメン優待ですから、座っててくれるだけでオッケーですよー。目の保養になります」


 タカシさんが、「あはは、朋菜ひどいな、それ俺にケンカ売ってるよ」と笑う。
 
 密かに、夜ベッドの上で凄いタカシさんに変身するんじゃないかとハラハラした。

 あ、それは私たちが帰ってからか。



「いや、でも本当。今日は呼んでくれてありがとうございます。俺たちも、いつかお二人みたいになれたらいいな? 茅野」


「は、はい……先輩、そうやっていつもさらりとプロポーズ紛いの発言やめてくださいよ!」


「ばか! 紅巴。ありがたく受け取りなさい!」


 笑い声があがって、先輩も「そうだ、そうだ」なんて楽しそうに盛り上がる。

 下の階に住んでるお義母さんは、婦人会の旅行でお出かけしているらしい。


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