飼い犬に手を噛まれまして
楽しい時間はあっという間、ほろ酔い気分の私はテンションが高いまま先輩の部屋に帰ってきた。
「ほら、靴は自分で脱げよ」
「はーい。そんなに酔ってませんから私」
「はいはい、じゃあ一人で歩けるな」
「歩けますよ。余裕です」
先輩の腕から離れる。
「危なっ! 怪我するから、大人しく座っとけ」
「酔ってませんってば、大袈裟な」
リビングのソファーに座ると、隣に座った先輩が覆い被さるようなキスをしてきた。
目を閉じて受け止めて、舌を絡めて、先輩の甘い味で満たされる。男らしい首筋に指を這わせて、ハーフの人特有の羨ましいくらい綺麗な髪を絡ませる。
綺麗な人…………整った顔を間近で独り占めしながら、だんだん激しくなるキスに身を委ねた。
髪をほどかれて、背中のファスナーが開く。先輩の指先は、焦らすようにゆっくりとワンピースを脱がし、ジワジワと露わになる肌に丁寧なキスをする。
「キスだけで酔わされそう。ワイン何杯飲んだ?」
「うーん……」
「まあいい。ここでしていいな?」
「……っ、もう始まってますよ……先輩の意地悪」
目を細めて余裕の笑み。すぐに獲物にむしゃぶりつく肉食獣みたいな顔になって、私の首筋を吸う。
「あぁ……また痕がついちゃいます」
「俺のものって証拠だ」