飼い犬に手を噛まれまして



────「…………はぁ」


「やめろよ、その甘いため息。もう一回シたくなるだろ」


「もう一回なんて……死んじゃいます、私」



 小指一本動かすのすら面倒なくらい、ぐったりと脱力。ベッドの上で先輩に抱きしめられて、目を閉じた。


「このまま寝ていいよ。朝、起こすから」

「はい……」


 言われなくても、もう動けません。

 体も頭も全部が先輩でお腹いっぱいです。



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