飼い犬に手を噛まれまして


「そうですよね。仕事は仕事。ちゃんと頭切り替えて取り組むのが大人ですよね。って、せんぱ…………」


 言葉をキスで塞がれて、私は仕方なく瞳を閉じた。

 首筋を先輩の指に撫でられて、背筋がゾクリとして全身を震わせる。


「…………っ」


 漏れた甘い声が、気持ちいい夜の空気の中で、酷く厭らしく響く。

 先輩のカフェラテ味の甘い甘い舌は、好き勝手に私の舌を弄んで唇を撫でる。何度も何度も、それを繰り返して、私の体に問いかけてくる。


 いいか? て、訊いてくる。


「せんぱい……ここじゃ、嫌です……ん、声が隣の部屋に聞こえちゃ……ゃ!」




< 271 / 488 >

この作品をシェア

pagetop