飼い犬に手を噛まれまして


 他にもいっぱい課があるのに、なんでわざわざ企画デザイン課を選んでしまうんだろう!

 課長が血相かえてワンコに走り寄る。

 郡司先輩も、何事? って顔してこっちを見た。



「副社長、いかがなさいましたか? こちらへは、何の用で」

「BNJのプロジェクトの手伝いに」

「は?」

 ふざけんな、このガキ。て書かれたような顔した課長。


「いいですか? プロジェクトリーダー」

 ワンコは企画デザイン課を横切り郡司先輩のデスクへ。そして挑戦的な目を向ける。


『断れ! これは学生の遊びじゃない!』と必死のジェスチャーを送る課長を無視して郡司先輩は、顎に手を添えた。



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