飼い犬に手を噛まれまして


 先輩の端正な横顔をしばらくその位置に固定させるから、どうなるんだ? と企画デザイン課にいた人たちが郡司先輩とワンコの顔を見比べた。


 大人の魅力ある先輩と、可愛さと直向きさを合わせもったワンコの対峙。



 二人が一緒にいるのが、いたたまれないのは私だけ。


「いいですよ」


 あ……あっさり……?

 先輩が頷くと、悲鳴と歓声とか色んなものが混ざって、企画デザイン課は異様に盛り上がった。


「副社長……大丈夫ですか? 多分、バイト並みにこき使われますよ」

「なんとかなるよ。紅巴さん、俺の席ここ」


 あいてる席に座ったワンコ。持ってきたノートパソコンを開く。

 うわぁ……前途多難。


 さっそく企画デザイン課の人たちに囲まれて、PCスキルを訊かれたり、やれPOPだツールだ、あれやこれやと質問攻めになった。



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