飼い犬に手を噛まれまして


「先輩……その話、時間がかかりそうです。帰ってからでもいいですか?」


 深陽さんの話をしなきゃいけないってことは、ワンコのことも話さないといけない。


 私……もっと早くに先輩にこのこと全部話さなきゃいけなかったのかも。



「わかった。でも、こっちは用心してるからな。秘書さん」

 
 トレイをひょいと持ち上げた先輩は、運ぶよ、と微笑んで給湯室を出た。 



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