飼い犬に手を噛まれまして



「秘書って、意外と辛いでしょう?」


 加賀谷さんに肩を叩かれて、思わず頷いた。



「しっかりね」


「はい、やれることはやってみます」


 加賀谷さんは、にっこりと微笑む。定規でかかれたような眉毛が、ちょっとだけ丸みを帯びた。



 

 
< 307 / 488 >

この作品をシェア

pagetop