飼い犬に手を噛まれまして


「先輩が私に教えてくれました……本気で愛し合う幸せな時間が、すごくすごく大切だってこと。

 私、ずっと前から先輩のこと憧れてました。この会社に入ってから、ずっとです。
 最初は、外見からでしたけど……今は、先輩の全部が大好きです。
 もし、先輩がどこか遠くに行っちゃても諦めるなんてできません。先輩にキスされたことや、抱き締められたこと思い出しちゃうと思うんです。

 それで、何回も好きだって気づくから……」


 先輩の唇が、私の唇を塞いだ。

 ダメだ……って言ったのに……

 髪の中に先輩の指が入ってきて、背中を支えられながら机に押し倒された。


「先輩……話、とちゅう……」

「黙ってろ」



 荒々しいキスは、緊張していた私の体を甘く溶きほぐす。
 ぐちゃぐちゃに溶かして、先輩ともっと密着できるようにしてくれてるのかもしれない。



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