飼い犬に手を噛まれまして


「馬鹿がつくほどお人好し」

「どうせ馬鹿です。一人にできなくて、ワンコはワンコなんです」

「でもやっぱり、赦せない」

「……先輩」

「副社長が全く紅巴に気がないとは思えない」



「ワンコは、ただ私に甘えてただけで基本的に誰にでも……あっ!」



 首から胸にかけて、先輩の唇が吸い付いてくる。いくつも紅い痕をつけられる。

「それでも行く?」

「はい」

「それなら、今ここで俺に滅茶苦茶に抱かれてから行けば?」


 頷くしかできない。
 それが先輩を好きな証明になるなら。

「いつでも大好きなのは先輩で、今助けてあげたいのがワンコです」

「他に代われる奴いないの?」


「残念ながら」



 

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