飼い犬に手を噛まれまして
「紅巴さん……」
「ワンコ、そのままでいいよ。一人で大丈夫だから」
「でも……」
「話たいこといっぱいあるんでしょ? またね。日本に帰ってきたら、連絡してね」
もうワンコじゃないから、星梛て呼ぶ。
手を取り合って頷いた二人が微笑ましい。お邪魔虫はさっさと退散だ。
ああ、やっぱり愛だよね……
仕事より愛なんだ……
私もはやく先輩に会いたい。
カートを転がしながら、心がすごく満たされていた。