飼い犬に手を噛まれまして
「今日も、タカシさんに黙って男に会いに行くんじゃないのか? って嫌み言われてさ。自分が友達いないからって、私まで一緒だと思わないで欲しい。
ほんと、頭にくる!」
「朋菜、可愛いから心配なんだよ。旦那さんは知ってるの?」
「もちろん! 速攻で治療中のタカシさんを無理矢理電話で呼び出した」
「それで何て?」
「悪気ないから気にするな、って、いつもそう言うの! 今日はインプラントの大事な手術あるから、家に帰ったら話合おう、って! あ、それから紅巴によろしく、って……」
「あはは、歯医者さんも大変だね。でも、旦那さん優しいよね」
旦那さんを誉めると、朋菜は決まって嬉しそうな顔をする。
「うん……そうだけど」