飼い犬に手を噛まれまして


「ペット飼いませんか?」


「ペット? 何を突然言い出すのよ……」


「この部屋広くて寂しくない? だったら俺に首輪つけて、ここに繋いでおけばいい」



 ここ、と言って星梛は私の胸を指差した。



 寂し……かった。シンガポールに来てから、初めて一人暮らしして、慣れない海外生活。仕事で全部紛らわしてきた。




「みはるに繋がれたいなぁ……ねえ、いいアイデアだと思わない?」


「でも、星梛は……あっ!」


 言い返そうとした途端に、無理矢理一つになろうとしてくる星梛。

 待ち構えてた私は、いとも簡単に彼を受け入れてしまう。


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