飼い犬に手を噛まれまして


 慌ただしい仕事に落ちるように没頭して、流し込むように昼食をとる。

 父と食べた優雅なランチを思い出しながらも、頭の中を占めたのは遅く起きた休日にとった星梛とのランチだ。



 私が目覚めると星梛は隣にいて、まぶたにキスをした。


 甘い声で、おはよ、みはる。と囁いて、私をすっぽりと腕の中におさめてしまう。


 お互い何も身につけてない。直に感じる星梛の体温があまりに心地よくて、また眠りに誘われる。



 ご飯作ったよ、お腹すいたよ、起きてよ、みはる。と体を揺すられて、自分が幸せのドツボにいた。




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