飼い犬に手を噛まれまして
母は、まあ可笑しいと、クツクツ笑っていた。
「三度目は、ちょうど一週間前。信じてくれ、と土下座した星梛くんに戸惑った。
これがSKMコーポレーションとコンテスト出品作品だ、自分はスパイでも何でもするから、ただ、みはると一緒にいたい……と」
テーブルの上には、ブルーのUSBメモリースティックが転がった。
父はそれをもう一度掴んでキャップを外すと紅茶の中に落とした。
「誓って見ていないし、漏洩もしていない」
星梛は、紅茶に浮かんだメモリースティックを眺めていた。