飼い犬に手を噛まれまして


「星梛くんの気持ちは痛いほど理解できた。

 でも、みはるは? みはるは、どうしたいんだ」



 星梛の横顔を盗み見る。


 その横顔がゆっくりと私のほうを見る。


 真剣な眼差しで、私の両手に自分の手を重ねてきた。



「みはるの答えは知ってる」



 見破られていた。

 全部、全部、星梛はお見通しだ。



 私が星梛を飼ってお世話してたわけじゃない……星梛が私に飼われながらお世話されていたんだ。




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