飼い犬に手を噛まれまして


────「有給休暇なんて、はじめてとった……」


「なんで? もったいない。セントーサ島楽しかったね、みはる。また連れて行ってよ」



 月曜日の午前中。私は、星梛の腕の中で過ごす。



「まだ眠いわ……もう少し寝かせて」


「いいよ」


 星梛は、私の首筋に鼻をこすりつけてスーッと息を吸い込む。


「いい匂い……」


 腕がさらにきつく絡みついてきて、体がべったりと星梛に密着した。


「これじゃ、眠れない……」


「遠慮しないで寝ててよ、勝手にイタズラしてるから」


 首筋から耳へと、星梛の舌が移動する。ゆっくりとたっぷりと耳を舐めて、次は唇、また首、胸からお腹に……キスをしたり、甘噛みしたり、好き勝手なイタズラは私の反応を見て一人で楽しむことだ。


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