飼い犬に手を噛まれまして

「はーい」


 返事をすると、画面いっぱいにワンコの満面の笑みが広がる。ていうか、近すぎて口元のドアップだ。



『紅巴さーん! 遊びに来ましたよー! はやく、開けてくださーい』


「わかった。どうぞ」


 オートロックを解除する。ワンコらしくて可笑しくなっちゃう。


 扉が開くと、寄り添うように立つ微笑ましい二人がいた。


「紅巴さん、会いたかった!」


 ワンコは、目に涙を貯めて抱きついてくるから、ああ、やっぱ可愛いなぁ、なんて懐かしくなって頭を撫でた。




「いらっしゃい!」


 先輩はワンコの首を掴むと私とワンコを引き離す。


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