飼い犬に手を噛まれまして
酔っても郡司先輩は、郡司先輩だ。
最後まで堂々としていて男らしい。
ワンコは笑うのをとっくにやめていて、シャンパンをグラスの中でくるくると回していた。
「みはるの両親とは、この後会う約束もしてるんですけどね……」と言い訳みたいな独り言を呟く。
みはるさんは、お皿にのせた卵サラダを完食するとフォークを置いた。
「うちの親は平気よ。星梛のこと気に入っているんだもの。顔だけでも、見せてくればいいじゃない」
冷たいようだけど、ワンコは俯いて笑った。
「みはるが一緒に行ってくれなきゃ、やだ」
「またそうやって……」
みはるさんの苦労がよく分かるから可笑しくなっちゃう。