飼い犬に手を噛まれまして
一人で発狂した私に反応したかのように、今度はパソコンのメール受信音がした。
「あ……ワンコからだ」
シンガポールのワンコからのメール。ハッピーハロウィンの文字と、どこかのパーティー会場のような場所で撮った写真。
ワンコは、ワンコに変装したようで白い耳のカチューシャをつけて頬に三本のヒゲをらくがきされている。隣で微笑むみはるさんは、小悪魔みたいに小さな羽がはえた衣装におもちゃの槍を持っている。
どっちも似合いすぎてて、可笑しい。いいなぁ、外国はこんなパーティーがあるんだね。
返事を書いていると、部屋のインターホンが鳴る。
あ、先輩が帰ってきた!
途端に緊張が走る。小包をどう渡すべきか?
普通に「はい」って渡すのも、どうかと思うし……「これ、なに?」って露骨に責めるのも嫌だなぁ…………
『紅巴ー? いないのか? 鍵あけてー』
インターホン越しに先輩の声がする。
「あ、うん。今開けるね」