飼い犬に手を噛まれまして
「い、いやぁああああああ!!!!」
「痛ってぇー!」
私は力いっぱいワンコの肩を押しのけて、足でみぞおち辺り(多分)を蹴り上げた。
「バカバカバカバカっ! ペットのくせになにするのっ!」
酷い。今まで付き合ってきた人にしか、許してないのに、パンツの中にまで手を入れてきた!
まさか、そんなとこまであっという間に侵入してくるなんて!
可愛い顔して、抜かりないなぁ。やっぱり、朋菜の話をちゃんと信じておけばよかった。
壁に背を押し付けて、ルームパンツをしっかりと履いてブラジャーを装着しなおす。泣きそう。なんなの最近の子! エロなんて興味なさそうな顔して!
超危険!!!
「あれ? 茅野さん……おはようございます。何かありましたか?」
ワンコは寝癖がついた頭を傾けて、きょとんとした顔をする。
無自覚犯罪。だとすると、今あったことを全部話た方が……
「あのね……」
ううん。でも、彼は元カノさんが大好きなんだ。例え間違えたとしても、私に間違えてキスして事に及ぼうとしたなんて知ったら可哀相かも。