飼い犬に手を噛まれまして

飼い主の資格



─────「茅野さん、いきますよ!」


 ワンコがボールを投げた。芝生に足をとられながら、なんとかキャッチ!


「もう! コントロール最悪!」


 私は、それを投げかえす。


「アハハハッ! 人のこと言えないじゃないですか、どこ投げてるんすか!」


 オレンジ色のボールはコロコロと芝生を転がった。


 ワンコと仲良くなれると買ってきたボールで遊ぶなんて、私本物の飼い主さんみたいになってきてない?


 ワンコは、スニーカーをキュッと鳴らしてボールを拾いあげると、眩い笑顔でボールを高く投げた。


 あの店員さんすごいなぁ……本当にボール遊びに喜んでるよ。うちのワンコ。



「茅野さん、絶対キャッチしてくださいよ!」


「う……うん」


 青い空を見上げてボールを探す。高い位置にある太陽がまぶしくてめまいがした。


「危なっ!」





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