飼い犬に手を噛まれまして

 これって……まるでキスしようとしてるみたい……


「まって……」


 至近距離で近づいたワンコ。自分より年下だから、つい可愛いなんて表現してしまうけど……彼はちゃんとした男だ。



「腹減りません?」


「は? お腹すいたの?」


「はい……」



 ワンコは自分のお腹をさすった。至近距離の顔が切なそうな表情をしていた。



「昨日の夜何も食べてなくて……いい店あるんで、昼飯食いに行きましょうよ」


 そして、キラキラした楽しそうな笑顔を魅せてくる。




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