飼い犬に手を噛まれまして
 

 朋菜は、肩を震わせて泣き出した。


「なんか、紅巴がすごい羨ましい。私……もう、別れちゃおうかなぁ」


「朋菜っ?」


「今日ね、タカシさんのお義母さんに不妊治療しに産婦人科行って来い、って言われたの」


「不妊治療っ? だって……まだ結婚したばかりでしょ」


「うん。タカシさんとも暫くは二人で新婚生活送ろうって話をしているの。

 でも、避妊しているわけじゃないし。授かったら、それはそれで考えようと思ってて……

 そしたら、お義母さんが半年も妊娠しないなんて不妊症だから、お金は出すからちゃんと治療して来いってさ……」


 それは……いくら何でも酷い。

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