飼い犬に手を噛まれまして
和香を傷つけた。大切な報告会に来れなくなるくらい。
郡司先輩に、あんな風に言われて周りも見えないくらいに興奮した自分がいて……和香を傷つけちゃった。
「どうしよう……」
和香、あんなに頑張っていたのに……
「茅野!」
和香のこと考えながら俯いて歩いていたから、目の前に郡司先輩のレクサスが停まっていることに全然気がつかなかった。
「先輩……」
「乗れよ。待ってた」
私は首を横に振る。これ以上、和香を傷つけられない。
ちゃんと私の気持ち説明して、和香の気持ちを聞いて、それから……
「乗れって言ってるだろ」
「先輩っ!」