【短篇】幼なじみ
また涙出そう。


藤が…、はぐらかしたりするから。


泣きそうになっていたら藤は、急に話し出した。


 俺は蒼が好きだよ。
小さい頃からね。蒼が俺のことを気になってばかりだから楽しくって。ついつい、からかっちゃうんだけど…。えへへ。」

藤の熱が、私の身体に広がってゆく。


「…藤…、私のこと…嫌いじゃない…??」


藤の背中に手を回して、私は聞いた。


「好きだよ。蒼。」


私に、納得させるように藤は耳元で囁く。


  すごく甘い声。


私の芯の部分が溶けちゃう。


「…藤っ…」


私は、ぎゅうっと藤の服を掴んで抱きしめた。


温かい。


これが藤の熱なんだね。

藤の心臓の音が、聞こえるよ。


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