【短篇】幼なじみ
「藤ぃぃ…。早く服着なさいよぉ…。」


私は顔を両手で覆う。


「えぇ~。どうしてぇ??だって、風呂上がりで暑いんだもん。」


藤は甘い声で可愛く言う。


私はそんな藤の甘い笑顔が、見たいから顔を覆っていた両手をどけた。


「わぁっ!!藤っ!!」


がっちりした藤の身体が私の目の前にある。


藤のシャンプーの香りがする。


「びっくり??えへへ。」


「……っ。また、ベランダから飛んだでしょっ!!危ないから止めてって言ってるのにっ!!」


私が、いくら注意したって藤はベランダからベランダへ飛ぶ。


私じゃこの距離を飛べない。


だけど、藤は半年くらい前から飛ぶようになった。


「話あるんでしょ?」


藤の甘い声に、私の心はとろけてしまいそう。


「……っ。服っ…着てよぉ~…。」


「服あっちだもん。いいじゃん。いまさら、いまさら!!」


藤は、自分の家を指さす。


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