【短篇】幼なじみ
「ごめんっ。あおっぺ…勉強しよっか。」


俺は、気持ちを切り替えて視線を教科書に反らした。


蒼の悲しい顔が見たかった訳じゃない。


そう自分に言い聞かせて。


「…藤…、あの…」


「ん??」


俺はまた蒼の方へ視線を移した。


え…??


「蒼…。」


俺は蒼が、目を閉じていることに心臓が跳ねた。

体温が一度上がった気がする。


俺は、蒼に顔を近付けた。


蒼は身体を一瞬震わせてまた力を入れた。


俺は、たまらない愛しさが身体中を支配していた。


「…蒼…。」


また蒼の名前を呟いて俺は蒼にキスをした。


柔らかい感触。


温かい温度。


ゆっくりと唇を離すと蒼は、真っ赤にして笑った。


「えへへ。俺のファーストキスだぁ。」


なんて俺はおどけて言う。


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