【短篇】幼なじみ
「藤ーっ。できたよ。美味しいかは、わからないけど…。」


オムライスの出来はまあまあ。


少し破けたところは、ケチャップでフォローした。


「うまそぉ~。食べていい??」


藤は席についた。


「うん。どうぞ…。」


そんなに大きい机じゃないから、向かい合わせの藤と足がくっつきそう。

藤は、眼鏡を外してオムライスを口に運んだ。


藤の感想がすごく気になって唇ばかり見ちゃう。

「あおっぺ。これ、美味しいよっ。」


「ほんとっ??よかったぁ。」


私は、ほっとして自分のオムライスを口に運ぶ。

うん、美味しくできてるっ。


オムライスの出来に安心して、黙々と食べる。


でも、本当は黙々とじゃなくて藤とお話しながら食べたいんだけど…。


藤を、ちらりと見てみるけどオムライスとばっかりにらめっこ。


オムライスめ。


藤の視線を独り占めなんてずるいっ。
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