華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
嘉と未也美/最後
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「それから、しばらく未也美さんとは会えなかった。会っても、あからさまに避けられたりしちゃ話せないし。」
少し自嘲気味に笑った嘉は、それまで伏せていた視線を私に向けた。
「でもこの間。立食パーティーがあったんだ。未也美さんはそこにお祖父さんと二人で来てた。お祖父さんは一代であの家の名前を有名にした人だよ。家の利益になることは見逃さない。たとえそれが、長年の家の伝統を破るのもだとしてもね。」
……その立食パーティーは私が身代わりになって行ったもの。
そうか。
彼女の祖父はそんな考えの人だったのね。
これで、嘉の話を聞きながら納得いかなかった部分が解決した。
彼は嘉のことを「親交を持っておくべき人材」と言った。
新倉の家がここ最近勢力を強めてることを考慮すれば、そうするのが一番いいってことね。
「そこで見た未也美さんは雰囲気がいつもと違った。あんまり仲が良くないって聞いてたお祖父さんと一緒だからかと思ったけど…。そんな感じじゃなかったんだ。なんていうか、別の人、みたいな…。」
つくづく思うけれど、嘉は勘がいいわね。