華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「ユズキ、あなた…」
「やっぱ気付いた、お姉さん?最近のお姉さんの様子じゃ気付かないかも、って思ったんだけどな。」
ニヤリと笑ってみせたユズキの顔は、幼児のそれじゃない。
MOONの一員としての、冷たい目と顔つきだ。
「じゃあ、どこに行ってたかも分かる?」
臭いを嗅げば、すぐに分かる。
ユズキから香る、血の臭いとほんの少しの…
「rose…」
「うーん、やっぱ分かる?」
くんくんと自らの体を嗅ぐ。
「薔薇に、手を出したの、マスターは…?」
「うん?そうだよ。」
「なぜ…?」
薔薇-rose-は、MOONと依頼者の仲介役を務めていた。
少数の、ほんの100人ほどの、機関だ。
その名の通りシンボルは薔薇。
真っ赤な薔薇。
所属している者はみな、薔薇の香りを纏っているのが特徴…
話じゃあ、薔薇を食べて薔薇風呂に入ってるって言ってたけれど。