華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
夢か記憶か
―――――…
「早く連れて行って!見たくもないわ、そんな子供!」
悲痛な女の叫び声と共に、一人の子供が部屋に入ってきた。
その部屋には幼い女の子がすでにおり、入ってきたのはその女の子と同じ年くらいの男の子だった。
二人はどこか、似ている。
彫りの深い顔立ち
色素の抜けた金髪
同じ色の瞳
その目は悲しみや寂しさが滲んでいる。
二人は目を合わせたものの、言葉を交わすことはなかった。
その無音の部屋に外からの会話が流れてくる。