華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「蓮っ!?」
嘉の慌てた声がひときわ大きく響いて、蓮士の周りを囲んでいた全員がざわついた。
そして、顔面蒼白の楓が私のところに走り寄ってきた。
「侑希…蓮が意識を失った……」
「蓮士が…?」
蓮士が、意識を失った?
頭痛で…?
それとも、他に何か原因があるのかしら…。
なんにせよ、見るからに丈夫そうで体力のありそうな蓮士が意識を失うとは。
ただ事とは思えない。
「とにかく、どこかの部屋に寝かせなきゃ……。……侑希、どうかした?」
「……なんでもないわ。」
チクリと。一瞬、こめかみに刺すような痛みが走った気がした。
だけど、痛みなんて…あまり感じないからそれが本当に痛みかどうかは解らない。
とにかく、ぐったりと運ばれる蓮士が心配だ。