華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
きっかけ
部屋に入った途端、空気が変わった気がした。
ベッドでは蓮士が苦しそうに眠っていて、胸が上下しているのが見て取れる。
私は、体に何か異変を感じながらベッドに近づいて行った。
ドクン、ドクン…
耳元に自分の心臓があるみたいに鼓動が大きく聞こえる。
それはベッドに近づくにつれて大きくなり、また、早くなった。
ドッ、ドッ、ドッ、ドッドッドッ…
「…っ、」
呼吸の仕方がわからなくなって、一度大きく深呼吸した。
体はベッドに近づいているのに、意識はだんだん離れていく気がした。