華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「暁斗さん……?」
「やあ、楓。」
柔らかな笑みを携えた暁斗がそこにいた。
真っ黒のシャツに、真っ黒のパンツ。
漆黒の瞳に漆黒の髪。唇だけが真っ赤に色づいていた。
「ど、して…ここに…?」
「とりあえず、その子から手を離して?」
「え…?」
笑ったままの暁斗から、ただならぬ空気が発せられる。
ビリビリト空気が震えて、笑っている暁斗が怒っているのが楓にひしひしと伝わった。
「なん、…」
「離すんだ。そんな汚い手で触れていい子じゃないんだよ、僕のお姫様は。」
「は…?」
瞬きの瞬間に笑みを取り去った暁斗は、目にもとまらぬ速さで楓の腕から侑希を奪い去った。