華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
片腕に侑希を抱き、愛おしそうにその顔を眺めている暁斗。
楓には訳が分からなった。
「暁人さ…ん?侑希、は…」
侑希は、なんだと言おうとしたのだろう。
楓は自分が何を言おうとしたのか分からなくなった。
姫?大切な人?
侑希は、いったい自分にとって何なのか。
頭に靄がかかったように考えることができなかった。
「…侑希、ね。そろそろそれも終わりだから、安心して良いよ。」
「終わり…?」
「そう。ところで、いつの間に桜華はこんなに弱くなったの?」
暁斗の言葉で、気が付いた。
暁斗の後ろにはメンバーが何人か倒れている。
「警戒して通してくれないから少し手を出したら、バタバタ倒れていったよ?殺気にも慣れてないの?」
「…あ、んた……」
何者だ。そう思ったが、恐怖でそれ以上言葉をつなげなかった。