華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
楓が青い顔で放心する中。
暁斗はベッドに横たわる――さながら白雪姫のような――侑希の頬に指を滑らせていた。
その名の通り透きとおるほど白い侑希の肌。
その顔色は、血の気が引ききって病的に青白くなっていた。
手足は冷たく、その歪んだ表情以外は死人同然だった。
「……はやく、もどってきて…。」
そう呟く暁斗の目はただ“愛おしい”それだけに染まっていた。
純粋な愛かと問われればそうではない。
その根底にあるのは独占欲だけだからだ。
「ぼくの、オヒメサマ……」
その体が同調したように。
意識を失っている3人の体が同時に一度、跳ねた。