華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
頼りなげに揺蕩いながら、ふわりふわりと宙に浮いたまま部屋から出て行ったハナは、目的地にたどり着いた。
当然、待ち合わせなどしていないから一目見たい相手はいない。
それどころか、いつもは風に導かれるままなので人目につかないが、今日は自身の意思で公園に来た。
ということはつまり、不特定多数の目にさらされる。
熱にうかされた意識では深く考えることが出来ず、ハナ自身が弱っているからか風もどこか弱弱しい。
こんな日に限って太陽は気合を入れて燦々と輝いていて、抗体のない少女の肌をじりじりと焦がしていった。
くらくらする意識の中で、思うことはただ一つ。
―――――ここに、いなければ。
それは一種の本能で、これから起こることを予感していたに違いない。
そのおかげで、やっと少女の世界が出来たのだから。