華〜ハナ〜Ⅲ【完結】
「にいちゃんは、どこかに行っちゃった。」
濃い影のできた公園と呼ぶには閑散とした場所で、同い年の光り輝く男の子は言った。
「どこかに…?」
じゃ、もう会えないの?
初めて安心を与えてくれた人は、そばにはいない。
暖かな冷たさを持った人は、もう。
酷く酷く悲しんだ少女の周りを風が囲んだ。
「ハナちゃん…?」
レンの目の前で目に見えて落ち込んだ少女に触れることは、できなかった。
メニュー